証明証発行の背景

 古美術の世界では古来膨大な〝偽物〟が存在することは、いろいろな鑑定番組などで実証済みですが、日本刀の世界でも同様であることは皆さまもご認識の通りです。
 古くは本阿彌家の「折り紙」が鑑定の基準となっておりましたが、これは主に将軍家や大名家同志の間で流通するときに必要だったもので、一般にはあまり関係のないものでした。
 戦後、大名家や名家から流出した古名刀を含めた日本刀は多くの一般愛刀家の所有となり、高度成長にあわせて愛刀家の数も増加しました。戦後、刀剣関係団体が発行する「認定書・鑑定書」は愛好家や一般の方にとりましても価値を高める基準となり、日本刀は日本独自の美術品として認知され確固たる地位を確立したと言えましょう。
 しかし、現代作家の作品には、公的な機関からの「認定書・鑑定書」のようなものは無く、昨今、現在活躍中の有名作家の〝偽物〟が残念ながら増加し実際に出回っていることは周知の事実であります。当協会では、現代刀作家作品の価値を貶めないため、また刀剣界の信用のためにも、平成30年12月より『新作日本刀証明証』を発行しております。また、この証明証は海外の刀剣ファンのためにも英語表記を加えております。
 戦後、現代刀は刀職者のたゆまぬ努力により技術や美術性が着実に向上し、これまで刀匠の重要無形文化財保持者が6名にもなり、現在は、また更に魅力的な作品を製作しています。そのような時代背景から、特に現代刀作家作品は確実に正真であることを証明するものでなくてはなりません。その意味でも、この証明証が今後ますます現代刀の貴重な資料となってまいります。
 現代刀を愛好される皆さま、刀剣商の皆さま、また刀職者の皆さまにとりまして信頼性と価値を高める基準となる『新作日本刀証明証』を活用して頂ければ幸甚に存じます。