ごあいさつ

 平成21年12月10日付をもって内閣総理大臣より公益財団の認定をいただき、本年12月には丸10年を迎えるようになります。これはとりもなおさず、今まで当協会の活動にご理解ご支援をいただきました会員の皆さま、愛刀家の皆さま、刀職者の皆さま、刀剣商の皆さまなど多くの支援者のお陰であります。改めて心より御礼申し上げます。
 私たちには今、何よりも文化および芸術の振興を目的とし、不特定かつ多数の利益の増進に寄与する「公益事業」を担っていくことが、強く求められています。私たちは日本刀を通して、それを推進します。そのために、刀職者に対する研修会を開催し伝統的な刀職技法を伝授して参ります。具体的には伝統技術継承と人材育成としての文化庁事業である「次代の文化を創造する新進芸術家育成事業(伝統芸能等分野)や「刀剣類の保存に関わる部分修復技術研修会」の実施を続けております。また平成30年5月に現代版刀職者マイスター制度ともいえる『日本刀名匠』認定制度を作りました。この最高の技量を持った刀職者だけに与えられる称号をもった各分野の職方の皆さんに、今後も講師として後進の育成に寄与してもらいます。
 日本刀は近年、海外においても高い評価を受けており、その比類なき価値を享受する機会が熱望されています。伝統や遺産を守ることのみに固執せず、内外の期待には積極的に応えていきたいと考えます。その一環として昨今「現代刀」における偽物が出回り国内外を問わず問題化している現状に鑑み、各界より現代刀の真物であることの証明をして欲しいとの要請応え、この度、公益財団として『新作日本刀証明証』発行をすることにいたしました。これにより今後長い目で見て現代刀に対する信頼性が格段に上がっていくものと考えます。
 日本刀はかつて日本の文化そのものであり、日本人の魂を映す鏡でありました。私たちは、日本刀を通して文化や人々の心が豊かになることを願い、ここに「日本刀文化」の振興を提唱します。そのために公開鑑賞会の開催、『新作日本刀 研磨 外装 刀職技術展覧会』の開催などを通して、直接「日本刀」に触れ、感動し「日本刀」を身近に感じてもらう機会を作っております。日本刀文化とは、わが国の歴史の中で培われてきた知的財産であり美風であるとともに、高い精神性を持った世界でもあります。本物の日本刀だけが持つ良き伝統と文化を継承しつつ、併せて時代に適応する日本刀の新しい価値を創造し、広く世界に向けて訴求し「人類の宝」としていくことが、今に生きる私たちの責務であると確信します。
 志ある多くの方々と、ともに手を携えて日本刀文化の振興に取り組みたく、ご理解ご協力を節にお願いするものであります。

平成31年 春
会長 柳井 俊二